人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

2021-04-08から1日間の記事一覧

まったく皺のないTシャツ 三十五章

一哉は眼前に拡がる夥しいほどの鮮血に戦慄した。奈美子はその血の海に沈むように、ぐったりと身体を横たえている。床には包丁に割れたグラス、白い壁は真っ赤に染められ、テーブルの上には大量のコカイン。その惨状は一哉を発狂させた。 「うぉぉぉーーー!…

三島由紀夫「盗賊」を読み終えて

自分のような凡人の率直な感想としては、余りにも単純過ぎますが、明秀と清子はその生涯を添い遂げて欲しかった、少なくともあんな結末にはなって欲しくなかった、という感じですかね。 三島由紀夫の作品は悲劇が多いと思いますが、彼は何故そうまでして悲劇…