人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

ブラックレイン

 
 松田優作カッコ良過ぎ ! とにかくカッコいい ! あれから30年以上もの歳月が経ちましたが自分は今でもたまに観ています。
 名作中の名作、ブラックレインのレビューです。
 

あらすじ

 ニューヨークのレストランにて日本人ヤクザとマフィアが談笑している所、店に突入した佐藤(松田優作)らは連中から偽札の原版を脅し取り、更に口答えして来た男を刺殺して逃げます。
 偶然その場に居合わせたニックとチャーリーの二人のアメリカ人刑事は佐藤を追いかけ無事捕まえる事が出来ましたが、日本に連行する際空港で大きな失敗をしでかし、みすみす佐藤を逃がしてしまいます。
 その後も日本に留まった二人の刑事は日本人刑事の松本(高倉健)の助力を得て共に佐藤を捕まえるべく奔走しますが一筋縄では行きません。
 ニックは同僚であるチャーリーまでをも佐藤らに殺され怒り心頭、我を忘れ暴れ狂い、絶望のどん底に堕とされますが・・・・・・。
 

キャスト 

ニック・コンクリン:マイケル・ダグラス

チャーリー・ビンセント:アンディ・ガルシア

松本正博警部補:高倉健

ジョイス(クラブ・ミヤコのホステス):ケイト・キャプショー

佐藤浩史(菅井の元子分):松田優作

大橋(大阪府警察本部刑事部長):神山繁

オリヴァー(ニックの上司):ジョン・スペンサー

片山(佐藤の子分):ガッツ石松

梨田(佐藤の子分):内田裕也

菅井国雄:若山富三郎

菅井の用心棒:安岡力也

菅井の用心棒:プロフェッサー・タナカ

吉本(佐藤の子分):國村隼

菅井の子分:島木譲二

                    他
 

 見どころ

冒頭で佐藤がヤクザ幹部を殺すシーン  

 まずはここですよね。幹部と軽い挨拶をした後、佐藤は握手を求めますがそれに応えなかった相手の手を強引に引き寄せ握手させます。そしてその男の上着をチェックして原版を確かめると、それを何の躊躇いもなく抜き取り立ち去ろうとします。

 そこでもう一人の幹部が佐藤の後ろ姿に「親分が黙っていねーぞ」と啖呵を切り、原版を取られた幹部も「相変わらずひよっこだな」と浴びせかけます。

 すると佐藤は立ち止まり、一瞬間を置いてから溜め息をつき振り向いて「あ!」と声を発します。頭が沸騰してしまった佐藤は連中の席に戻り、有無を言わさず胸を突き刺し、もう一人の首をかき切ります。動揺しているアメリカ人マフィア達に手でジェスチャーをしながら落ち着くよう促します。

  ここだけでも正に迫真の演技なんですよね。あおして余りにもインパクトのあるシーンだと思います。
  
 

f:id:SAGA135:20210402122652p:plain

マフィアを宥める佐藤
 
内田裕也がタクシーに乗るシーン

 ニックと松本刑事が街で張り込みをしている頃、捜査を巻く為に突如現れた佐藤の子分の梨田がタクシーに乗るシーンがあります。一見何でもないこのシーンなのですが、マニアックな自分としてはここを見逃す訳には行きませんでした。 
 それは余りにもカッコつけた乗り方で、寧ろタクシーに乗り込むといった感じにも見えます。
 
 

f:id:SAGA135:20210402124820p:plain

カッコいいタクシーへの乗り込み方(笑)
 この画像で分かるようにいくら刑事を巻く為とはいえ自らタクシーのドアを開けるんですよね、そして内田裕也もまだ若かったですね~。
 このシーンは神戸元町で撮ったらしいのですが、「元町1丁目」という表示板があったので恐らくは三宮センター街元町商店街との間のスクランブル交差点ではないかと思われます。自分も観に行きたかったです。
 
佐藤がエンコを飛ばすシーン  

  ラスト付近で菅井の大親分(若山富三郎)に改めて忠誠を誓うべく盃の儀式に赴いた佐藤は菅井から「その前にお前が今までして来た事のケジメをつけ!」と言い放ちます。
 それを訊いた佐藤は目をむき、少し不服がありながらも指を飛ばす訳ですが、たったこれだけのシーンでも松田優作の表情には魂を感じますね。 
 ここに到着した時の佐藤も歩きながらコートを車のボンネットに投げつけ、それを子分が取る描写があります。これも実にカッコいいですね^^

 

f:id:SAGA135:20210402131653p:plain
f:id:SAGA135:20210402131622p:plain
ボンネットにコートを投げつける佐藤と  不服そうか顔を見せる佐藤 
 
  その後マイケルダグラスとの格闘があり、物語はエンディングを迎える訳ですが。
 この儀式に用いられた現場も何か田舎で段々畑などがある寺でしょうかね? 何故こんな所でやるのっていう感じもしますけど(笑)
 

最後に

 タイトルの「ブラックレイン」は正に黒い雨という意味なのですが、菅井の親分がニックに対し
「俺が10歳の時、B29に爆撃され、街がなくなっていた。そのあと、黒い雨が降った。お前らアメリカ人は、自分の価値観を俺たち日本人に押し付けた」
  と言っています。ここから察するに、この映画は単なるヤクザ映画ではなく、戦後の日米関係を如実に表した、アメリカに対する日本人としての意地を感じますが浅はかな捉え方でしょうか?
 自分みたいな硬い、時代錯誤な人間はどう考えても今の日本ではダメだという観念を払拭する事は出来ません。政治的な話になってしまい恐縮なのですが。
 
 
 そして何と言っても松田優作の最後ですよね。彼は癌でありながらこの作品に命を懸け熱演しました。余りにもカッコ良過ぎると思います。その迫真の演技からもこの映画はマイケルダグラス、高倉健松田優作の三人同時主役と言っても過言じゃないと思います。そしてラストの感動シーンと。
 
ま~自分の如き若輩がこのブラックレインを論じる事自体が不遜な気もしますが、洋画邦画を問わず一番好きな映画なのでレビューさせて頂きました。
 本当に面白いですね、最高です 😉