
司会Y「その男は何が何でもくそ旨いものをお客様に提供したい、腕には絶対の自信が
あると豪語します、彼がそう言い切る根拠は何処ににあるのでしょうか、鳥達
を肯かせる事は出来るのでしょうか」
くそ旨食堂
司会Y「どうぞ」
志願者「失礼します、九宗馬男、41歳です、宜しくお願いします」🙂
司会Y「いくら希望しますか?」
九宗「850万円を希望します」
司会Y「その使い道は?」
九宗「全てがくそ旨、大衆食堂の開店資金です」
鳥達は各々顔を歪めながら志願者を見つめる 😦 🤨 😕
鳥S「その、全てがくそ旨食堂というのはどういう食堂ですか? 具体的に教えて
貰っていいですか?」
九宗「はい、そのままなんですけど、とにかく全ての料理がくそ旨いんです、これに
尽きます!」
鳥K「完全にふざけてますわ、私らみたいな飲食に携わってる人間に言わせて貰っ
たら、外道ですわ、貴方、飲食事業を舐め腐ってるでしょ?」😤
九宗「いいえ、そんな事はありません、自分は飲食に誇りを持っています」🙂
鳥K「メニューはどんなものを考えてるの?」
九宗「はい、まずはくそ旨カリー、これがメインメニューで、くそ旨ラーメンにくそ
旨うどん、くそ旨定食、くそ煮込み定食、くそ旨丼ぶり、くそ旨焼きそば、くそ
旨炒飯、くそ旨オムレツ、くそ旨オムライス、くそ旨焼き魚、くそ......」
鳥H「もういいですよ、くそくそくそって貴方ねぇ、下品ですよ、気持ち悪いですよ」
鳥K「大変お下劣ですね、貴方飲食の経験あるの? あるのならこんな事言えない筈
ですよね」
九宗「経験は日本食、中華、それぞれ3年あります、今は大衆食堂で働いています」
鳥N「非常に下品ですね、メニューも貴方のお名前も」
鳥S「それは言い過ぎじゃないんですか? 人格攻撃は止めましょうよ」
鳥K「人格攻撃ではないよ、一般論でも誰が訊いても下品でしょ!?」
鳥S「今私が喋っているんです、一般論だけで捌くのもどうかと思いますよ」
九宗「はっきり言ってこの名前は最大のコンプレックスなんです、この名前のお陰
で苦労して来ました、でも逆にこれをバネにして這い上がってやろうと
思っています、そういう意味のクソ! でもあるんですよ、ハングリー精神
なんですよ」😎
鳥H「言葉というのは便利ですよね、言い方に依っては尤もらしく聞こえるものです
よ、でもね、貴方には心が無いのよ、感じられないのよ、非常に浅い、人間が
浅いですよ」😁
鳥達は言葉を失い俯いて思案していた 😔 😓
鳥H「Yさんね、この番組ってちゃんと志願者を選りすぐって出してるんでしょ?
毎回毎回変な志願者ばかりじゃないですかね? ほんと疲れますよ」
司会Y「一応スタッフが厳選に審査してますけどね」
九宗「取り合えず事業計画書を見て頂けませんか?」
鳥K「どうせまたろくでもない紙切れなんでしょ」
鳥S「そんな事言わずに見るだけでも見てみましょうよ」😧
鳥達は嫌々ながらも資料に目を通す 🤔 🧐
鳥K「正にくそですわ、こんなもんうちの従業員ならアホ
ンダラァ ! って言いますわ、恥ずかしくて街歩
かれへんでぇ~」🤬
鳥S「そんな言い方無いでしょ!」😮
鳥N「Kさんはまだ言ってないんですよ、うちの従業員なら言いますわっては話ですか
ら」
鳥S「言ってるも同然じゃないですか」
鳥S「今日は何か料理を食べさせてくれるんですか?」
九宗「はい、食べて頂いて宜しいですか?」
志願者は粛々と段取りを整え一押しメニューと謳うくそ旨カリーを作り出した。鳥達は食べる気も無さそうな顔で料理する様子それを見下している 🤔
九宗「はい、出来ました、試食のほど宜しくお願いします」
鳥K「せっかくだから一応食べてみましょうか~」
一口つけると鳥達の顔色が変わった。
鳥H「旨いね~」😀
鳥N「うん、確かに美味しいよ」😀
鳥S「十分美味しいですよ」😄
鳥K「これは旨いよ!」😮
司会Y「旨いですね」
九宗「有り難う御座います」😊
鳥K「でも、何か臭みがありますね、これ何ですか?」😦
九宗「それは企業秘密なので今は言えません」
この時志願者は笑いを堪えていたのだった。
鳥K「仕方ないかぁ.......」
鳥H「私らは貴方の事を誤解してたのかもしれないね、出しますよ」
鳥K「私も出しますわ、これなら行けますわ」
他2名の鳥達も出資する事に同意し、資金はちょうど4等分で出資される事になった。
司会Y「この時点で貴方の希望金額に達しましたので、マネー成立です
おめでとう御座います」
九宗「有り難う御座います」😊
志願者は鳥達とがっちり握手を交わし、目を輝かし野望を胸にして礼を言う。その姿は勇ましくも律儀で、歴々たる鳥達をも感動させた。
その後計画は迅速に執り行われ、取り合えずはバラック小屋で番組収録の翌日に店は華々しく開店した。店先には「くそ旨カリー」「くそ旨ラーメン」「くそ旨定食」等のくそ尽くしの旗が風に靡いている。初めは下品に思われた客達も物珍しさに興味をそそられ次々に来店する。
「いらっしゃいませー!」😀
快活に愛想の良い声を上げる九宗馬男。開店初日は大盛況で売り上げは実に多く、満足の出来るものであった。
だが初日の経営を終えた九宗はバラック小屋をいち早く取り壊し、颯爽と行方を眩ました。それを訝った鳥達に大勢のお客様。彼等は既に身体を蝕まれていた。鳥達はこの日の昼間にお客様達は晩遅く、或いは翌朝に一斉に食あたりを起こし嘔吐しまくっていたのだ。
九宗が企業秘密にしていたくそ旨料理の隠し味はそう、紛れもない「う〇こ」であったのだった。彼は事成れりと言わんばかりに歓喜し、既に用意してあった隠れ家に逃げ込んでいたのだった 😉