人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

極道女子高生 十章

  十章

 

 

 親分が部屋のい入って来た時から月は傘を被り風は強さを増した。

親分は床にどっかと坐りあやに勺をする。あやは少し訝りならがも勺を受け一献飲み干した。すると親分は「相変わらずいい飲みっぷりだな~」と笑みを泛べる。

「で、話というのは?」

「ああ他でもない、お前の事だ」

「何だよ、改まって」

「お前、昇司と一緒にならないか?」

「なんだって? いきなりどうしたんだよ?」

「いきなりでもないんだが、あいつはお前も知ってるように武闘派で若い衆達からも結構慕われてるし二人が一緒になってくれたら俺も安心して後釜を任せる事が出来るんだ」

「・・・」

「勿論お前の事情もあるとは思うが悪い話じゃないだろ?」

「・・・」

「そうか、誠二君だな、あの子の事を考えてるのか」

「別に」

「確かにあの子も強くなって今度の件でも活躍したし俺も気に入ってはいるけど、あくまでも堅気さんだ、あの子には極道も向いてもないしな」

「別にヤクザにならなくてもいいじゃん」

「それはダメだな、俺にはお前しか息子はいないんだよ、どうあっても次の代は自分の血縁から出したいんだよ、そうじゃなかったら長年に渡るうちの一家の絆が潰れてしまうからな」

「じゃあ私がなったらいいじゃん」

「だから、いくらお前が男勝りとはいえ女組長ではカッコがつかないんだって」

「それでこの前あんな事言ったのかよ」

「ま~そういう事だな」

「昇司をうちに婿入りさせてお前と二人三脚、一家を持ち立てて行っ欲しいんだよ、分かるだろ」

親分はあやに勺をし続ける。

「親父、もういいから、後は勝手に飲むから」

「そうか・・・、ま、今直ぐ答えを出せとは言わないが考えておいてくれや」

と言って親分は酒瓶をあやの部屋に置いたまま部屋を出た。

あやは釈然としない心持でやけ酒を飲み続けた。

昇兄ぃは好きだけど何で一回りも年の離れたあの人と私が結婚なんてしなきゃいけないんだ、昇兄ぃは今のままの昇兄ぃでいいんだ、親父の言う事も分からないでもないが私は誠二が好きなんだ、と錯綜した思いが心を駆け巡る。一体私はどうすればいいんだとひたすら考えたが良い答えは何一つ出て来ない。あやはその晩ムシャクシャした思いのまま眠りに就いた。

 

翌朝はやはり雨だった。

気性の割に悪天候が大嫌いだったあやは学校に行くのも億劫だった。

だが家に居ても暇で仕方ない、庭に出ると二頭の愛犬が吠えながらあやに近づく。

何時ものようにハグをしたあやは少し気が晴れたような気がした。

 

登校したあやは授業中またサイコロを振り始める。意外と今日は思うような賽の目が出る事に少し戸惑った。何故こんな気分の時に限って賽振りが巧く行くのか自分でも分からない、だが前向きな性格のあやはこれは吉兆と思い誠二に会いたくなったのである。

昼休みになりあやは真っ先かけて誠二に会いに行く。しかしあやの目には想定外の光景が映っていた。

誠二は奈美と一緒に楽しそうに語らっているのである。それを見たあやは「お二人さん、今日も仲がいい事で結構だね~」と嫌味を言うと奈美は何も言わずに立ち去った。

「あいつは何時も逃げるな~」

「そりゃ、あやには負けるの分かってるから仕方ないだろ」

「そうかな~、この前は引っぱたかれたけどな」

「もうその話はいいじゃん」

「・・・」

あやは誠二の目を見つめたが誠二はたまに目を反らす。煮えたぎらないあやは誠二を外に連れ出して「お前本当に私の事好きなのか?」と問い詰めた。

「何怒ってるんだよ、好きに決まってるじゃんか」

「私の目を見て言えよ!」

誠二はあやの目を見はしたがあやには何か吹っ切れないものがあった。

「ま~いいや、で、今日はどうするんだ?」

「今日は何処へも行かず家に帰るよ」

「つまんねえな~」

「あやもたまには真っすぐ家に帰れよ」

それを訊いたあやは少し悲しい気持ちになっていた。

それでもあやはたまには誠二の言う事も聞いてやるかと素直に家に帰る事にした。季節は秋になっていて街路には綺麗な紅葉が咲き誇っていてその姿は哀愁に充ちている。あやは「もう秋か、早いな~」と呟いた。

 

家に帰ったあやは案の定退屈でする事がない。居てもたってもいられなくなり行きつけのスナックに行く事にした。

店の前に着くとまだ夕方であるにも関わらず中からは既に歌声が聴こえて来る、如何にも年配の人が唄う演歌の声であった。

店に入るとママが「あら、あやちゃん久しぶりじゃない、元気してたの」と快活に声を掛けてくれる。「まーな~」と言ってあやは席に着いた。

あやは一杯目のビールを一気飲みした。それを見たママは「相変わらずね~あやちゃん、そのいい飲みっぷりは見てるだけでも気持ちいいよ」と笑いながら言う。

他の客も朗らかに笑っていた。

酒が進んで来た頃客の一人の男が「あやちゃん俺とデュエットしてくれないかな?」と言う。あやは快く引き受けて一緒に歌っていたのだが途中で何か不審な感触を身体に覚えた。

一緒に歌っていた男があやの身体に必要以上に触れていたのである。それを感じたあやは頭に血が上り男をぶん殴った。それを見たみんなは慌てて「どうしたんだよ、あやちゃん、何かあったのか?」と訊くとあやは「このおっさん私の身体に触れたんだよ」

と憤っている。ママは「ま~あやちゃんちょっとぐらい大目に見てやったら?」

「そうはいかねえよ、ママも私の性格は知ってるだろ?」

「ま、確かにあやちゃんの言う通りだけどさ」

あやはムカついてその後直ぐに店を出た。

「全く世の中バカしかいねえのかよ」と独り言を呟きながら歩いて帰った。

 

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少し歩くと紅葉の樹は街の灯りにライトアップされて更に美しさを増していた。

あやは気が紛れたような心持になったが時計を見るとまだ8次過ぎ、このまま家に帰っても退屈だし何か物足りない気がして暫く街をうろついていた。

「何か面白い事でもねーかな~」と欠伸をしながら歩いていると路上でトラブルを起こしている一団が遠くに見える。あやは興味津々で駆け付けた。数人のグループ同士が喧嘩をしていたのだが、どう見ても片方が劣勢である。あやは劣勢の方に味方して喧嘩に参加した。

何時ものように暴れまくるあやの姿は意気揚々として実に活気に溢れている。あやは素早く相手を叩きのめしたが余りの手応えの無さにまた幻滅した。劣勢だった一向は「何方か知りませんが助けて貰い有り難う御座いました」と礼を言う。

「気付けて帰れよ~」とだけ言ってあやは立ち去った。

 

家に帰りあやは真っ先に風呂に入る。鏡で背中の入れ墨を眺めたあやは「情けなねーな~、こんなんじゃ背中の龍も観音様も泣いてるだろうな~」と悲観的になり何時もより強く力強く、そして優しく背中をタオルで擦り出した。

部屋に入るともう酒は飲まずに横になった。 

空に輝く星々が少し恨めしく思えた。

 

誠二もその日は真っすぐ家に帰ったのだが相変わらず鬱屈した思いが顔を曇らせる。

晩御飯の時、母は言う「誠二、あんたあやちゃんと付き合ってるでしょ」

「何で知ってるんだよ?」

「みんな知ってるわよ、そこまで隠密な関係でもないでしょ」

「そうだったのか~」

「お母さん思春期の貴方達に文句を言うつもりはないけど、あの子はヤクザの子だしね~」

「奈美と同じ事言うんだな」

「あなたまさか三角関係になってるの?」

「別にそんなんじゃないよ」

「まぁ色々あるでしょうけど母さんは奈美ちゃんの方が好きだわ」

誠二は何故か居たたまれない気持ちになった。

「親不孝なんかしないから心配しないで」

「母さんの事は別にいいのよ」

誠二の母は優しい子供思いの人だった。

その晩は誠二も窓から微かに見える紅葉を見て少し感傷的な気持ちになっていた。

 

翌朝登校すると学校は一週間後に控えた体育祭の練習一色になったいた。

全学年が一斉に取り組む練習の姿は実に勇ましく活気に満ちていた。

誠二は相変わらず奈美の姿を卑猥な目つきで眺めていると今度は女子生徒から注意された。「誠二君、あなた何見てるの? いやらしいわよ」

「人の勝手じゃん」

「そんなに奈美が好きだったら素直に告白したら? みんなそう思ってるのよ」

「何で俺なんかの事をに一々干渉してるんだよ」

「みんな奈美を応援してるからよ」

「だからそういう事は人の勝手だろって」

「それならあやに告白したらいいじゃん、あなたは優柔不断過ぎるわよ」

誠二は的を得た言い方に戸惑いを隠せなかった。

確かにこのままではダメだ、このまま行くと二人に対して悪い、いや、自分自身にも決して良い結果が齎される事はないだろう、だがどうすれば良いのだ、葛藤していたら同級生の声が聞こえる「誠二、何してんだよ次はお前の番だぞ」と。

徒競走で誠二の番が来ていたのだった。誠二は鬱憤を晴らすべく無我になった気持ちで走り抜いた。結果は一位だった。それを見たみんなは「誠二凄いじゃないか、お前何時からそんなに速くなったんんだ?」と褒めそやす。

誠二は少し嬉しかった。辺りを見渡すと奈美がこっちを向いて笑っている。誠二も軽く笑って返したのだが、少し目を移すとあやが怪訝そうな顔つきでこっちを見ている。

あやはやはり二人の仲を怪しんでいたのだ。そう感じた誠二は直ぐあやから目を反らす。そんなやり切れない日々が続いていたのであった。

 

放課後誠二は久しぶりに空手の稽古に行った。

体育祭の練習で少し疲れていた誠二は空手の稽古にもあまり身が入らない。

それを見かねた師範が誠二にこう言った。

「お前悩んでるだろ」

「すいません、頑張ります、押忍!」

「今日は帰れ、そんな気持ちではいくら稽古をしても同じだ、格闘技は気技一体となってなければ上達しないんだ、それぐらい分かるだろ、これ以上やっても今日は何の成果もない、帰れ」

そう言われた誠二はやむなく帰る事にした。

 

道場を後にする頃、師範が近寄って来る。

師範は「お前あやとは縁を切れ」と言い出したのだ。

それを訊いた誠二は放心状態になった。何故師範までもがこんな事を言うのか訳が分からない。

誠二は改めて師範と向き合った。

 

 

 

 

 

 

 

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KEIKOの胸中は

 小室さんとKEIKOさんが離婚ですか。

本来はこういう芸能ネタ、特に不倫ネタなどにはあまり興味はないのですが自分もKEIKOは結構好きだったので少し触れてみたいと思います。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/befe77a8c36a6e3bd27a90cdc527a1335d421867

 

globe ベスト3

1位ーFACE

2位ーPerfume of love

3位ーStop! In the Name of Love 

 これがmyベスト3ですね。

当時は良く聴いていました。globeの曲は他の小室ファミリーとはちょっと違ったdarkな感じが結構好きでした。KEIKOも可愛くて綺麗ですよね。

 

有名人、芸能人の不倫 

めちゃくちゃ多いですよね。これは昔からなので今更言うまでもない事ですけど何故ここまで多いのでしょうか。確かに有名芸能人ともなれば交際も多でしょうしそうなってしまうきっかけもいくらでもあるでしょう。でもおしどり夫婦も結構いますよね。不倫自体が絶体いけないとまでは言いませんが一々離婚までせずもっと巧く出来ないものかと思いますね。

今は一般人でも多いし自分の周りでも結構いますが離婚する為に結婚したのかと思ってしまいます。芸能界の影響も少なからずあるように思えますね。

自分の好きな長渕もそうですが小室も一体何人の女性を泣かせると気が済むのかって思うぐらいです。

あれだけの超豪勢な披露宴までしておきながらこうもあっさり分かれてしまうのかと。勿論その過程では色んな事があったのでしょうけど滑稽に見えてしまいますね。

 

KEIKOの胸中      

大病を患って大変だったでしょうね。自分も一度心臓の手術をした経験があるので気持ちは分かるような気がします。長年に渡り看病していた小室さんも大変だったでしょう。KEIKOは何時復活するのかと待ち遠しかったのですがこういう結果になって本当に残念です。離婚は成立したといいますが本当にお互い晴れて離婚したとはとてもじゃないけど思えません。KEIKOもやっとこさ回復して来た矢先にこんな事になるとは不憫で仕方ありませんし、小室ももういい年なんだから今更不倫とか、いくら有名人とはいえ節操がないような気もします。

一々他人の事を干渉する訳じゃないですけどKEIKOはまだ小室の事を愛していたように思えます。もしそうとするならそれを簡単に裏切る小室はやはり頂けませんね。

 

無論真実など誰にも分からないでしょうけど現代人の愛情の希薄さを感じずにはいられません。

KEIKOの胸中は如何ばかりかと思います。

 

 

 

 

 

 

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極道女子高生 九章

  九章     

 

 

 あやはその晩は誠二の家に泊まった。それは二人の総意でもあった。

実に心地よい眠りに就いたのだが二人共夢を観たのだ。あやの夢にはまた誠二が出て来る。今度ははっきりした夢で二人は夫婦になり倖せな家庭を築いて子供までいる。三人で手を繋いで公園を歩いている姿は傍から見ても正に倖せの絶頂であやも誠二も笑顔が絶えない。まだ幼い子供の愛らしくも微笑ましい振る舞いを見て一々目を合わせて笑う二人、その家族愛には一点の曇りもなく快晴の空のような光景であやは晴れやかな気持ちで眠りから覚めた。

だが誠二の観た夢は少し違った。愛する二人は決してハッピーエンドで終わる事が出来ない夏休み読書感想文に類似した内容であったのだ。あの小説にはやはりバッドエンドが待っていて誠二もそれを薄々は感じていたものの読み終わった後やり切れない気持ちを葬る事は出来ずにムシャクシャしていた時期もあったのだが実生活ではあやがいる、あやと一緒にいるだけでその憂さは晴れたような感じがしていたのである。

でもその夢にはもう一人の女性が出て来てその人とは巧く行っているようなストーリーでもあった。この女性は誰なのか? 仲は良い筈なのに誠二が近づくと陽炎のように消える、消えてはまた現れる、その繰り返しだった。

目が覚めたあや煙草に火を着けてから最初の一服を天井に吐き出した後、誠二に訊く「おはよう、お前夢観なかったか?」と。

「ああ、観たよ」

「どんな夢だった?」

「はっきりした事は覚えてないけどラブストーリーだったよ」

「で、ハッピーエンドだったのか?」

「いや、どちらでもない感じだったな」

「そうか、私も観たよ、同じような夢さ」

「いい夢だったの?」

「ああ、最高の夢だったよ」

「それは良かったな」

「ああ」

窓を開けると正に雲一つない快晴であったがあやはヒコーキ雲の一つもない空に少し物足りない心持だった。

誠二が「朝飯の準備して来るからちょっと待ってて」と言うと。

あやは「いいよ、親御さんに見つかったらヤバいだろ、私はこのまま学校に行くよ」とそのまま窓から外へ飛び降りたのだ。誠二はあやらしいと思った。

誠二は朝食を食べている時母に「昨晩誰か来ていたの」と訊かれたが誰も来てないよとあっさり母の疑念を退けた。母も特に気にしている感じでもなかった。

 

登校中誠二は奈美の事が気になった。あれから何もな元気にしているだろうか、いくら助かったとはいえ女の子が心に傷を負わない訳はない、誠二は奈美に会うべく急いで学校に行く。その姿にはさながら白馬の王子的なものがあった。

 

学校に着くと急いで教室に向かう。そこで奈美の姿を確認した誠二は一安心した。

一時間目の授業は国語で一つの物語を生徒が順番で読んで行くように先生が指示する。一人目は奈美であった。活舌の良い明るい声で快活にそして心のこもった読み方をする奈美を見て誠二は改めて彼女のその知性と感性、理性、品性に敬服した。

誠二は5番目に読み出したのだがあまり巧くは読めなかった。

休み時間に奈美は誠二の所に来て「あなた本読み下手ね」と笑って言った。

誠二はそんな奈美の顔を見て嬉しくなり昨日の事は敢えて何も口にしなかった。

 

昼休みになり昼食を食べ終わるとまた奈美が来て「誠二君ちょっと話があるの」と言うのである。誠二はその時の奈美の表情があまり明るくはなかった事に少し訝り「どうしたの奈美ちゃん?」と言うと奈美は「ここでは何だから外に行こう」と言う。

昼休みのグランドではバスケットやバレーボール、サッカー等をして元気に遊んでいる生徒達が目立つ。グランドの端の方に腰を下ろして涼しい眼差しで遠くを見つめる奈美の横顔は可愛かった。

「誠二君昨日はほんとにありがとう、お陰で助かったわ」

「うん、無事で良かったよ、あれから何も無かっただろ?」

「それがあったのよ」

「え? 何が?」

「体は無事だったけど心に怪我をしたのよ」

「やっぱりそうか、そりゃ女の子だもんな、俺の所為でもあるよ、悪かったな、ゴメン」

「その通りよ、あなたの所為よ」

「何か怒ってる?」

「怒ってるわよ」

「何で?」

「あなたはほんとに鈍い子ね」

「だから何がだよ?」

「あなたはあの子と付き合うべきじゃないのよ」

「またその話かよ」

「何度でも言うわ、これ以上深みに嵌って欲しくないのよ、あなたの為でもあるわ、これからもあの子と付き合っていたら絶体後悔する時が来るわ、それは間違いない事よ」

「何でそこまで俺に干渉するんだ?」

「それは私があなたの事好きだからよ」と言って奈美は走って立ち去った。

誠二は放心状態になり何が起きたのか分からない、奈美は気がおかしくなっってしまったのか? 確かにあいつとも小学生からの仲ではあるど今までそんな素振りを見せた事は一度もなかったし、今度の件だけで俺の事が好きになった訳でもあるまい、誠二には訳が分からない。その時たまたま転がって来たサッカーボールを誠二は思い切り蹴り返した。

 

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午後からの授業はいよいよ目前に迫った体育祭の練習を学年合同でするのであった。

徒競走では相変わらずあやが一番早く大勢の歓声が巻き起こる。誠二はこれといって得意な種目もなくた整然と一つ一つの練習をこなして行くだけだった。

ダンスの練習で奈美の姿を目にした誠二は少しいやらしい女を見る目つきになっていた。それを発見した同級生の男子生徒が「おい誠二、お前何いやらしい目つきしてんだよ、誰を見てるんだ?」と訊くと「別に」と誠二は軽くあしらった。

奈美の身体はあやとは少し違って男の目から見ても何かそそるものがあった。この前海岸で練習した時はみんな制服姿だったのでそれほど感じなかったが体操服姿の奈美の身体は実に綺麗で色っぽく誠二は一時そこから目を離す事が出来なかった。

一連の練習が終わり下校する頃あやは誠二の元へ来て「これからどうするんだ? もう親父には喧嘩もするなって言われたし退屈でしょうがねえよ、またゲームでもしに行くか!」と言う。

「ゲームも飽きたな~」

「私もそうなんだよ、でも他に何かあるか?」

「じゃあまたカラオケにでも行こう」

「カラオケか、いいな」

「三人でな」

「誰とだよ?」

「奈美さ」

「何であいつまで連れて行くんだよ?」

「今回の件で奈美もちょっと元気を失くしてると思ってな」

「なるほど、お前らしいや」

二人は校門で奈美が来るのを待って来たらすぐさまカラオケに誘った。

奈美は意外と快く引き受けて一緒に歩き出す。誠二はこの奈美の昼休みの時とは違う雰囲気に躊躇いを隠せなかった。

三人は電車を一駅区間乗って駅前のカラオケboxに入る。部屋に入ったあやと奈美は「今日は疲れた」とソファーに飛び乗った。

あやは酒を頼んだのだが店員に未成年へのアルコール類は禁止されていますと言われると「いいから酒だよ酒」と鋭い目つきで言うと店員は「分かりました」とあっさり折れた。それを見た誠二は何時もの事のように笑っていたが奈美は少し怪訝そうな顔をしている。三人はそれぞれ好きな曲を何曲も歌い大いに盛り上がった。

あやも奈美も歌は上手い、誠二だけが少し下手であったのだが二人は全く気にする様子もなくヒューヒューと口笛を鳴らして「はい次行こう!」と上機嫌だ。

酒が進んで来たあやは三人でデュエットをしようと提案する。二人も「よし行こう」と躊躇う事なく歌い始める。テンションが高くなって来たあやと奈美は誠二の身体に必要以上にくっついて更には頬にキスまでする始末であった。誠二もめちゃくちゃ嬉しかったが「二人共やり過ぎだよ」とはにかんで照れ隠ししている。

するとあやが「お前何照れてるんだよ、嬉しいんだろ、ハーレムだもんな~」と言って誠二の身体に飛びついた。誠二はマイクを離してあやを抱きかかえる。その姿を見た奈美はやむにやめずに啖呵を切った「あやちゃんやり過ぎよ、いい加減にしなよ」と。

あやはそんな事には一向に構わず誠二の身体に抱き着いている。腹に据えかねた奈美はとうとうあやの頬を張ったのである。あやは流石にムカついて「何するんだよおめーは、そこまで怒る事でもねーだろ」と言って誠二の身体からようやく離れた。

「限度というものがあるでしょ!」

「おめーこの前助けてやったのもう忘れたのかよ?」

「忘れる訳ないでしょ、私の心は今でも傷ついているわよ!」

「それなら黙ってろよ!」

「・・・」

三人のテンションは一気に下がり堕ちてもはや歌どころではなくなったいた。

奈美は「昨日はありがとう」とだけ言い置いて足早に立ち去った。

あやは「あいつ何かあったのか?」 と誠二の顔を見て言った。誠二は「人の気持ちまでは分からないよ」とさりげなく言う。

「昇兄ぃと同じ事言うんだな、人間の気持ちなんて簡単さ、嬉しかったら笑顔になって悲しかったら暗い顔になるだけだよ」

「あやは相変わらず単純でいいな」

「何だよバカにしてんのか?」

「そうじゃないよ、俺も色々考えたくないだけさ」

「ふっ、お前も相変わらずだよ」と笑う。

「じゃあまた明日なー」とあやは快活に言って店を出た二人は家に帰った。

 

その夜は風が強かった。奈美の事が心配な誠二は食事もあまり喉を通らない、その事を訝った母は「どうしたの誠二? 学校で何かあったの?」と訊いて来る。

「別に何もないよ心配しないで大丈夫だから」

「それならいいけど」

だが母もバカではない既に誠二の心の変化を感じていたのだった。

 

一方あやは家に帰って暇を持て余していた。もはや喧嘩も盆に出る事も親分に禁止されて何もする事がない。部屋でただテレビを見て煙草を吸いながら独り淋しく酒を飲んでいた。今夜も綺麗な月が出ていて星も結構見える。そその月を見てあやは「空は朝も夜も綺麗だな~」と呟いた。

 

そうしていると親分が部屋に入って来た。何時になく神妙な面持ちをしていて手には酒瓶を提げている。

あやは「何だよ親父、私の部屋に来るなんて珍しいじゃねーか、何か話でもあるのか?」と訊くと。親分は「そうだ今日は折り入ってお前に話があるんだ」と言うのである。

その後、月は少し傘を被ったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

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今週のお題

今週のお題「告白します」

 

     彼方に霞む山並みに 真冬の雨の儚さよ(笑)

 

 という事で今週のお題に挑戦しようと思います。

 

告白します実は

その一


お尻に出来物が出来易い(笑)

これは20代からなんですが坐り方が悪いのか日頃の食生活の乱れから生ずるものかはよく分かりませんがとにかく出来易い体質なんです。

最近は大分治まって来ましたけど酷い時は500円玉位の大きさまで発展する事もありました。そなったらもはや坐っているのもキツイです。自分で潰した事も何度もありますが顔のニキビみたいにそう簡単には潰れてくれません。でも巧く潰れてくれて膿が出て来た時は気持ちいいです。

病院に行って治療して貰う事もあります。でもはっきり言って恥ずかしいですよね。

他の治療ならまだしもベッドの上でうつ伏せになって尻を出すと。医者の先生も男のケツを何度も見るのも気は進まないでしょうし(笑)

自分で言うのもおかしいですが結構綺麗好きなので恐らくは内面的な事が原因とは思います。これからはなるべく大らかに生きて行きたいと思う今日この頃ですね 😉

 

その二


小便を漏らした経験がある。

ここで言うのも恥ずかしいぐらいなんですが30年以上昔の話なので流石に時効かなと 😅

でも30年前といっても既に中学一年生の頃でした。これは忘れもしません英語の授業中、途中でトイレに行きたくなったのですが時計を見ると後10分で授業は終わりと思い我慢する事にしたのです。チャイムが鳴って「よし終わった」と思ったのも束の間、そんな時に限って先生は「延長してやるから」と言い出したのです。勘弁してくれと思いましたね。約7分位延長した授業が終わり 「起立、礼をした時事件は起きたのです!」

とうとう我慢が出来ずに少しだけ出てしまったのですがそうなったら後の祭りでストップが効きません。諦めた自分はその場に大量の小便を垂れ流してしまいました。

その時思いました。「人生終わってしまったと」それは言い過ぎだとしても最低でもいじめられる事は想定しました。

ただ不幸中の幸いで席は一番後ろでそれも窓際だったのです。その小便の音に気付いた一つ前の奴が「お前どないしたんや? ポケットに何か入れとんちゃうんかい?」と自分を庇ってくれたのか、本気でそう思ったのかは分かりませんが言いました。

ポケットにそんな大量の水分が入ってる訳もなく自分は潔く白状しました「やってもたわぁ~」と。

すると休み時間なので男子生徒が多数集まって来て色々と茶化されました。いじめに発展しなかったのは救いでしたね。でも流石に気の小さい自分としてはこれは今から直ぐ家に帰り登校拒否するしか道はないと思いました。

ですが結局それもなく次の日からも普通に学校に通いそれからも何も言われませんでした。みんなもそれほど興味がなかったのか、いい奴ばかりだったのかまでは分かりかねますが。

小学生低学年ならともかく中一にもなってこれは恥ずかし過ぎます。

いきなり汚い話ばかりで申し訳ないです 😅

これがやらかした告白ですね。

 

わたしの好きなあの人

今の私生活でははっきり言っていません。まず出会い自体がありませんね。情けない話です。とはいえ昔の話ばかりしてもあまり面白くもないので自分の好きな女性芸能人の話でもしたいと思います。

といってもこれも昔の話が多いのですがランキング形式にすると

3位ー浜田麻里


綺麗ですよね~、勿論今でも。年を感じさせない芸能人の一人と思います。

昔は嵌りました。好きな曲は「Heart and Soul」「Return to Myself 〜しない、しない、ナツ」「Nostalgia」です。歌唱力が凄いですよね。そしてあのイケイケのボディコン姿で歌ってる姿は色っぽいですけど今見ると笑ってしまうぐらいです。ま~時代ですね。

 

2位ー杏子


特にバービー時代の杏子は最高最強でしたね。色っぽ過ぎます。昔風に言うと「マブイ」ですよね。正に姐御という感じです^^

コンタともやってるんじゃないかと思うぐらいですが、こういう事は言ってはいけません(笑) でも杏子をエロ目線で見ていた人も多いんじゃないでしょうか。

好きな曲は「目を閉じておいでよ」「せまってDay by Day」「DISTANCIA~この胸の約束~」です。

 はっきり言って杏子は1位にしたいのですが敢えて2位にしておきます。

コンタも男気があって好きですけどね。

 

1位ー太地喜和子 


 時代はまた一気に飛んでしまうのですが妖艶といえば太地喜和子ですよね。

自分が一番好きだったのは「白い巨塔です」これでも田宮二郎とやってるとは思いますけどね(笑)

とにかくその容姿自体が既に妖艶そのもので寧ろそれを省いて語る事の方が難しいです。あのふわ~っとしたような顔つきとは裏腹に鋭い目つき、声、喋り方、どれをとっても最高ですね。もし自分が芸能人でその時代に生きていたなら絶対に告白していると思います。勿論相手にもされないでしょうけど^^

正に世界に二人といない人だと思います。

今の時代にはいない人ですよね。自分は今流行ってる人にはあまり関心がありません。これも時代錯誤が過ぎる所為でしょうか。ま、愚痴は止めておきますが。

他にも沢山いますがこの三人は完全に自分の中のトップ3ですね。

 

という事で今週のお題とさせて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 

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極道女子高生 八章

  八章

 

 シンの声と確信したあやは直ぐにでも奈美を助けに行かねばならないと思ったが流石に一人では危うい、だが親父に言うのはもっと危険だと考えたあやは取り合えず誠二に電話を掛けた。誠二はこう言う「親分に頼んだらいいのでは?」と。

「いや、親父に言えば事が大きくなってあいつら何しでかすか分かったもんじゃない、ここは少数精鋭で行った方がいいと思うんだ」

「なるほど、じゃあ明日二人で行こう」

「それがシンは私一人で来いと言ってるんだよ」

「それは危ない、いくらあやが天下無双とはいえ危な過ぎるよ」

「確かにな」

「明日は取り合えず学校に行こう、学校で綿密な打ち合わせをしよう、シンさんも手荒な事はしないだろう」

「そうだな」と言って電話を切った。

流石のあやもその晩はなかなか眠れなかった。何故シンがそんな事をしたんだ、あいつとは結構古い付き合いだし恨みを買うような事も思いつかない、シュンの破門の件でもこの渡世では当たり前の事だ、一体何故だ、だがシンがいなければ親父も疑う、どうすればいいんだ、あやは葛藤していた。

冷静になろうと煙草に火を着ける、そして背中の入れ墨を鏡で眺めた。すると思いついた事があった。そうだ昇兄ぃに頼もう、昇兄ぃなら絶体力になってくれる筈だ!と。

あやは晩も遅かったが躊躇せず昇兄ぃに電話を掛けた。意外とあっさり出たくれた。

「お嬢かい、久しぶりだな、こんな夜更けにどうしたんだ?」

「それがちょっと力を貸して欲しいんだよ」

事の詳細を話すと昇兄ぃは快く助力する事を引き受けてくれた。

昇兄ぃというのは名は昇司で彫り師を生業としているのだが、あやの入れ墨もこの昇司が彫ったのであった。彫り師といってもヤクザもんで出入りの時には親父も必ずといっていいほど助っ人として呼んでいたこの男は極道社会でも『毘沙門の昇司』と恐れられその名を轟かせていた。

 

翌朝あやは昇司に学校まで送って貰い親父にはシンは体調を崩したと誤魔化した。

その日はあやも誠二も奈美の事が心配で授業など完全に上の空で聞いていた。奈美は真面目な性格で無断で学校を休むような子ではなかったので先生も心配しているに違いない。一刻も早く奈美を助け出さなければと気が気でならない。二人は苛立っていた。

昼休みに誠二と会ったあやは早速段取りを話す。昇司の事を訊いた誠二は頼もしい人が味方についてくれたと少し気が楽になった。

午後からの授業中あやはサイコロを何度も振り続けた。だが何度振っても2、4、6の丁、つまり偶数ばかりが出るのである。あやの好きな半は一向に出ない。それを訝ったあやは自分の賽振りの腕を疑った。こんな事は初めてだったのであやはらしくもなく少し暗鬱な気持ちになった。

 

六時間目の授業が終わり二人は足早に車に乗り込む。昇司は至って冷静沈着である。

その姿を見たあやは「流石は昇兄ぃ、動じるという事を知らねえんだな」と煽てる。

何も言わない昇司を見た誠二はそのあまりの風格に気後れしていた。

道中あやは「それにしても分かんねーな~、何であいつがこんな事をしたんだ?」と怪訝そうな顔をする。誠二は黙っていた。すると昇司が初めて口を開く。

「お嬢よ、そんな下らねー事考えても仕方ねえ、人間ってのは色んな事を考える生きもんさ、俺達はただ行く道を行くだけなんだ」

確かにその通りだと思った。

「で、あんさんは?」

「あ~こいつは誠二だ、私のダチだよ」

「いい目つきをしてるね~」

「こいつ前まではひ弱な真面目君だったんだよ、でも空手を始め出してからなんか貫禄が出て来たな」

「いや、そんな事言ってんじゃねーんだよ、この兄さんの目つきそのものが良いんだ」

「え?」

「ま~いいさ、で、兄さん名前は?」

「誠二です」

「誠二さんかい、またヤクザ向きな名前だね~」と昇司は軽く笑う。

「まだ時間がはえーな、茶店で潰すか」

「いや、昇兄ぃ、そんあ悠長な事は言ってらんねーって!」

「何を焦ってるんだいお嬢」

「別にそういう訳じゃねぇけど・・・」

昇司の言う通り三人は気茶店に入った。

相変わらず昇司はドンと構えて煙草を吸っている。その姿に流石のあやも少し臆していた。

誠二も何も言わずに窓から外の景色を眺めながらアイスオーレを飲んでいる。

それから一同は約二時間も店に居たのである。午後六時を過ぎて痺れを切らしたあやがそろそろ行こうと言おうとした瞬間、昇司が「行くか」とゆっくり口を開いた。

 

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第三埠頭に着くと辺りは閑散としていて風が少し吹いていた。

この辺りは数年前から廃工場や、使っていない倉庫、三階建てくらいの雑居ビルが立ち並んでいて殺風景な場所であった。

短髪に薄い色のついたサングラスにコート姿の鋭い目つきをした昇司は愛刀の村雨を手に持ってゆっくり車を降りる。そしてまた煙草を一服する。

あやも一服着けた。昇司は誠二にも「兄さん吸うかい?」と煙草を勧めたが誠二は断った。

あやはいよいよか~と意気込んでいる。

倉庫の門前に着くと昇司は「二人はここで待ってろ、俺が呼ぶまで絶体に来るな」と言うのである。

「そりゃねえぜ昇兄ぃ、いくらあんたでも一人では無理だよ、向こうは何人いるか分かんねーんだぜ!」

「いいから来るな!」

とだけ言って昇司は倉庫の鍵のかかっていない扉を中から閉めた。

二人は何故かそれ以上一歩も進む事は出来なかった。

 

「一体何を考えてるんだ昇兄ぃは?」

「こうなった以上はあの人に任せるしかないだろ」

「・・・」

二人は海を遠く眺めていた。

 

20分位経った時、倉庫の扉が開く音がした。そこから出て来たのは昇司と奈美、そして傷だらけの十数人の半グレのような輩達であった。

勿論シンとシュンもいる。その光景を眼前に見た二人は絶句した。

一体昇司は何者なんだ? どれだけ強いんだ? いくら毘沙門の昇司でもたった一人で十数人を相手に無傷でいる事などありえない! 時代劇じゃあるまいしカッコ良過ぎる!

だが事実に抗っても仕方ない事だ。実際奈美も無傷みたいで言う事はないのだが。

あやは安心した気持ちと自分が一暴れ出来なかった物足りない気持ちと昇司の手際の良さとで複雑な心境に陥っていた。

奈美は嬉し泣きしていて、シンとシュンは何も言わずに下を向いている。残りの有象無象は「すいませんでした」と泣いているだけだった。

昇司はシンの手下達を解放してシンとシュンを車のトランクに詰め込み、あや、誠二、奈美を連れて事務所に帰った。

その道中、みんなは何も口に出さない。誠二と奈美は途中でそれぞれの家に帰された。

事務所に着いた昇司はトランクから二人を引きずり出して親分に差し出す。

親分は何時ものように着物姿のいで立ちであやの顔を睨みながら出て来た。

事の成り行きを訊いた親分はシンとシュンの二人をぶん殴って「もう二度と俺の前に面を出すな!」と言い放つ。その後あやは親分に改めて怒られたのである。

何故俺に言わなかったのか? 無事に事が収まったからいいようなもの、もしもの事があったらどうするつもりだったんだ? お前は堅気さんにまで迷惑を掛けたんだぞ! と色んな事で叱責を受ける。確かにその通りなのだがあくまでも元凶はシンとシュンにあると思ったあやは反論する。「何で私だけが悪いんだよ?」と。

「別にお前だけが悪いとは言わない、今までのようにヤクザ同士のいざこざなら俺も何も言わないでおこうと思ったが今回は別だ、堅気さんに迷惑を掛けた事には違いない、それは絶体に許されないんだ」

親父らしい言い方ではあった。あやもそれ以上は何も言い返せない。

すると親分は「やはりお前が女だからなんだ、お前が男ならシンもシュンもヤマを返すような事はしなかっただろう」と言うのである。

それを訊いたあやはせっかく静まった気持ちが逆流するような気がした。

「それどういう意味なんだよ!? 男も女も関係ねえだろ!」

「関係あるんだよ、お前はまだ子供だ」とだけ言い置いて親分は立ち去った。

 

その晩もあやは眠れなかった。親父は決して男女という二元論だけで物事を捌くような人ではない、それなのに何故あんな事を言ったのか? 私の身を案じているだけなのか? それともまだ他に何かあるのか? と葛藤している自分自身にも苛立って誠二に電話を掛ける。

「おう誠二か、寝てたか?」

「いや、俺も今日はなかなか眠れなくてな」

「そうか、今から会えないか?」

「ああ、いいよ」

今度はあやから誠二の家に行った。誠二は母に気付かれないようにそっと玄関を開けてあやを部屋に通した。

部屋に入るなりあやはいきなり誠二に抱き着く。誠二もあやの身体を強く抱きしめた。

だがその目には涙が溢れている。誠二はあやの涙を舌で舐めて綺麗な顔に繕った。

そして服を脱がせると背中には見事な騎竜観音の入れ墨がまるで生きているように映る。

その背中を指先で優しくなぞり舌でそれを追いかける。するとあやは美しい喘ぎ声を上げる。その後あやは誠二と目を見つめ合わせて激しく口づけを交わした。

甘くて芳醇な香りが漂う。その色香に酔いしれた誠二は我を忘れて思う存分あやの身体を貪った。

こうして二人は初めて契りを交わしたのであった。

 

 

 

 

 

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極道女子高生 七章

  七章

 

 

 その晩あやは久しぶりに夢を観た。ストーリーははっきりしないが大蛇に喉を咬まれる夢だった。大蛇があやの体中に巻き付きいくら足掻いても身動き一つ取れない、そしていよいよ咬まれそうになった時夢は覚めた。

汗をかいて飛び起きたあやは素早く煙草に火を着ける。こんな怖ろしい夢を観たのは初めてだった。

だがそんな悪夢ごときに翻弄されるあやでもない、何時ものように二頭の愛犬にハグをして学校へ行く。この行程は何も変わらないのである。

 

学校では体育祭間近という事もあって頻繁にその練習が行われていた。あやは体育会系だったので練習には気が逸る。100mを六秒フラットで走り切るあやを見たみんなは歓声を上げて「流石はあや、あいつには誰も敵わねーな~」と褒めそやす。そんな声を聴いたあやは上機嫌で他の競技にも精を出した。

 

その日あやは食堂で昼食をとる事にした。体育祭の練習で腹が減ったのか何時もの弁当だけでは物足りなく思いうどんが食べたくなったのだ。

きつねうどんを食べだしたあやは何故か箸が進まない。うどんの麺が昨晩観た夢に出て来た蛇に見えるのだ。麺が蛇であげが自分の身体に見えて仕方ない。気持ち悪くなったあやは途中で食べるのを止めて誰もいない場所へ行き煙草を吸い出した。

「あー気持ち悪かった、何でこんな気分になったんだろう、私らしくもない」と心の中で呟く。だが空を見上げヒコーキ雲を発見したあやは一時的に元気になれた気がした。

 

午後の授業を終え帰ろうとする時あやは誠二と奈美が仲良く話している所が目についた。「お二人さん仲いいね~、今からデートですか~」と茶化すあやに誠二が

「何言ってんだよ、ただ偶然会っただけだよ」と反論する。

「皆まで言うんじゃねーよ、だったらこれからもんなで遊びに行くか?」

「何処に?、まさかまた喧嘩しに行くんじゃないだろうな?」

「私だってバカじゃない、お美しいお嬢さんがいるのにそんな事するかよ」

「私は行かないわよ」と言う奈美を強引に引き留め三人は一緒に車に乗った。

車の中でも奈美は愛想がなく一言も喋ろうとしない、そんな奈美が気になったあやはある提案を出した。

「みんなで海に行こうぜ!」

それを訊いた奈美は間髪入れずに「海なんか行ってどうすんのよ?」と怪訝そうな顔つきで言う。

「砂浜で体育祭の練習をするんだ、結構いい案だろ?」

暫く考えていた奈美と誠二の二人が声を揃えるように「なろほど、それはいいな!」

と快活な表情を浮かべて言った。

あやはシンに「海だ」と当たり前のように命令する。

「へい、分かりました」

 

九月の海は夏祭りが終わったような静けさを漂わせていて哀愁に充ちた光景である。

久しぶりに海に来たのか奈美はさっきまでとは打って変わって元気よく爽快に砂浜を走り出した。

「あー気持ちいい! 海は最高ね!」と朗らかに笑う奈美。それを見たあやも誠二も一安心していた。

三人は徒競走からリレー走、組体操にダンスまでして大いに遊んだ。組体操を女二人相手にしてる誠二は二人の身体に触れる度に凄い贅沢をしているような心持になっていた。シンも流石にこれには参加せずに遠くから見守っているだけであった。

一連の練習が終わり疲れ果てた三人は波打ち際に腰を下ろした。

「今日は楽しかったな~」と言うあやに「そうだね」と言う奈美。

誠二は一人で黄昏れていた。

「おめー何考えてんだよ、もっと明るい顔しろよ!」と言うあや。

そんな誠二の顔を見た奈美も少し神妙な面持ちになった。

六時半位になり日が沈んで来たのでみんなは帰る事にした。

 

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帰りの道中シンは珍しく車を飛ばした。

あやが「おめー何してんだよ、今日は奈美もいるんだぞ、もうちょっと安全運転しろ

よ」と言うと「すいませんでした」と謝るシン。

そんな二人のやり取りを見た奈美はやはりこの人達は住んでる世界が違うなと思った。

 

あやの家に着くと「シン、二人をちゃんと家まで送るんだぞ」と言うとシンは「そこまでする義理はないです」と言った。

「なんだとテメー、テメーまで私にヤマ返すのかコラ!」と言ってシンの胸倉を掴むあや。すると奈美は「私は歩いて帰るからいいよ、そんなに遠くもないし」と言う。

それでも奈美が心配になったあやは誠二に一緒に帰ってやれよと進言した。誠二は快く承諾して「奈美ちゃん一緒に帰ろう」と言った。

あやは二人を帰した後改めてシンにカマシを入れた。

 

誠二と奈美は帰り路でもあまり喋らなかったが途中公園のベンチに坐って少し休憩した。暫くして奈美が口を開く「あなた本当にあの子が好きなの?」と。

「好きだよ、悪いか?」

「悪いね、絶体に本気じゃない」

「何でそんな事が分かるんだ?」

「女のよ」

「そんなのあてになるかよ」

「なるわよ、あやもあなたの事本当に好きなのか分かったもんじゃないわ」

「余計なお世話だよ」

「いいや、これだけは言わせて、あなたは強く成りたいだけであの子と付き合ってるのよ、勿論あおれ自体は悪くないわ、でもあの子はあくまでもヤクザの娘で私達とは住んでる世界が違うのよあなただってそれくらいの事は分かるわよね」

「だから分かったうえで付き合ってるんだって」

「いいや分かってないわ、あなタヤクザになる覚悟は出来てるの?」

「何で俺ヤクザになんなきゃいけないんだよ?」

「あの子は一人娘よ、いくらあの子が強いったって女組長なんて聞いた事もないわ」

「そこまで考える事ないだろ」

「あなたは甘いわよ」と言って奈美は走って帰った。

誠二は石ころを蹴りながら家に帰った。

 

あやはその晩も盆を執っていた。相変わら賽振りは鮮やかで美しい。親分も盆はあやに任せて姿を現しもしないぐらいであった。

 

一方誠二は奈美に言われた事が気になって晩御飯もあまり喉を通らない。

部屋に入りまた刀を抜く。その閃光は何時になく誠二に勇気を与えてくれる。誠二は奈美の言っていた事など杞憂に過ぎないと確信していた。

 

それから風呂に入り床に就こうとした時母が思わぬ凶報を知らせる。

奈美が家に帰っていないのだと言うのである。それを訊いた誠二は矢も楯も無く外へ出てあやの家に一目散に駆け出した。母は誠二を心配する。

あやの家に着いた誠二はその事を急いで告げた。あやは今から「探しに行くぞ」と車を出すようにシンに言おうとしたがシンはいなかった。当番は一日中家にいなかればいけないのに一体何処に行ったのか? こんな事で一々親父に言うのもカッコが悪い。

仕方なく二人は歩いて奈美を探す事にした。

街をあちこち探すが奈美は何処にも見当たらない。歩行者やその辺にたまったいるチンピラにも訊いたが何の手掛かりも掴めない。

取り合えず交番で捜索願いを出して家に帰るとまるであやの帰宅を知っていたかのように電話が鳴り響く。電話を取ったあやには戦慄が走った。

「お嬢、その子は預かりました、返して欲しければ明日の夕方第三埠頭の倉庫跡に来て下さい、女の事は心配いりません、丁重に扱っていますから」と言う声は正にシンの声であった。

 

 

 

(小説の方もまだまだ未熟で誤字脱字もありますので再編集した完成版をここに上げています。こちらも宜しくお願いします^^)

https://kakuyomu.jp/users/hideki135/works

 

 

 

 

 

 

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とんぼ

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     ああ、倖せのとんぼよ~何処へ~、お前は何処へ飛んで行く

        ああ、倖せのとんぼが~ほらぁ! 舌を出してぇぇ笑ってら

      

  カラオケに行くと絶体に歌う曲の一つなんですがスナックなんかで歌うとみんな乗ってくれて盛り上がる事も多いです。勿論下手ですけどね 😅

でも下手ながらにもこの曲だけは熱唱、激唱、絶唱しないと剛さんに対しても非礼になってしまうのです。

という事でそんな長渕ファンの自分としては触れない訳にはいかないドラマ「とんぼ」の紹介をしたいと思います。

 

このドラマがオンエアされていた時自分は小学六年生でした。それまでも長渕のドラマは結構見ていましたが、とんぼからは役柄が一変してヤクザ役になっていたのです。それに愕いた方も結構おられるのではないでしょうか。でもヤクザ役も難なくやりこなす長渕は流石としか言いようがありませんでした。当時はめちゃくちゃ嵌りました。

そんなとんぼが長年に渡る封印を解いて一昨年やっとこさビデオ化されたんです。

ま~色んな裏事情もあったのでしょうけど久しぶりに見るとやっぱり面白いですね~。

今の時代にはまずない描写が多いんですよね。その辺も長渕ならではだと思います。

 あらすじ 

2年の刑期を終え、出所した暴力団八田組の若頭・小川英二。しかし、出迎えに来たのは舎弟分の水戸常吉だけだった。 英二が服役中に、さまざまな問題が起きていた。妹・あずさは勝手に大学を中退して喫茶店で働いていたり、恋人・夏実は英二が刑務所に入ってすぐに他の男と付き合っていた。また英二は刑務所の中で八田組のさまざまな裏事情を握っていた。英二の下克上を恐れた組長・八田昇は英二を始末しようと企んでいた。そんな中、あずさの働く喫茶店のオーナー・波子と出会い、波子は英二に想いをよせていき、また英二も波子のことを気になりかけていた。  

 キャスト 

小川英二 - 長渕剛 

小川あずさ - 仙道敦子

水戸常吉 - 哀川翔 

宮沢波子 - 秋吉久美子

河合松次郎 - 植木等 

八田昇 - 中野誠也

峰山 - 堺美紀子

石橋 - ピース(ゆーとぴあ)

田所 - 楠大典 

直(通称ピアス)- 寺島進 

鉄 - 石倉三郎

竹尻建造【 広島の叔父貴】 - 梅宮辰夫(特別出演) 

見どころ

はっきり言って全てですね。どのシーンを見ても面白くて目を離す所なんて一つもないとは思いますが強いて挙げるとすれば、まず序盤では英二が喫茶店でチャラチャラしている客や、蕎麦屋で行儀の悪い高校生にカマシを入れるシーンですかね。

あういう演出も長渕ならではとは思いますが特に今のマナーもモラルもないような現代社会では必要とも思う所ですけどね。

そして終盤になりいよいよ英二と組の関係が悪化し出した頃、英二が堂々と組に乗り込んで行く場面ですね。

組長とは一応話をつけて大金を持って帰ろうとした時寺島進が英二に絡んで行き耳を切られてしまうんです。これは当時インパクトありましたね~。ドラマとはいえその映像は強烈に見えました 😱

 

そして全般を通して言えるのが「長渕キック」なんです。

この長渕キックというのは特殊なキックで相手を蹴った後自分自身も倒れ込んで行くんです。その余りにもオーバーなアクションが実に絶妙で面白いんです。蹴ってる時に何か早口で文句も言っています。

長渕の立ち回りは独特なものがあって殺陣師も絶賛していたという新聞記事を昔読んだ事があります。この辺も長渕ならではで彼の才能の凄さを知らされます 😉

 

あと英二がサザンの曲をDisっているシーンや波子との恋愛、弟分常との絆、血まみれで街を歩くラストシーンも面白かったですね。

 

www.youtube.com

  

最後に

とにかくこの頃の長渕は最高でしたね。それまでの長渕も好きでしたけど自分はこのとんぼから長渕にド嵌りして二十代前半位まではっきり言って洗脳されていました(笑)

まだ若くて尖っていた所もあるでしょうし時代背景もあったとは思います。

勿論今の長渕がダメと言ってる訳でもないですが余りにも時代が変わってしまいましたね。

このドラマには現代日本人が忘れてしまった、見失ってしまったものが一杯詰まっています。そういうものを感じさせてくれますね。

でもそこまで硬い感じでもなく卑屈な描写もないのです。

面白いものは面白い、後世に残る名作だと思います 😉

 

 

 

 

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