人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

甦るパノラマ  四話

さゆりと母が異口同音に投げ掛けた言葉は英昭を悩ませるのに十分だった。さっきまでは平静を装っていたが、いざ自室で独りになるとその哀しい、やるせない想いは自ずと胸に込み上げて来る。過去を振り返る事が特段嫌いでもなかった英昭は横になり、追憶に浸…

甦るパノラマ  三話

棚から牡丹餅とでも言おうか。思いもしなかったさゆりとの出会いは最近の英昭にとっては大袈裟な言い方をすると、ギャンブルで勝った時以外で初めて経験する喜びであったようにも感じる。やはり幸運というものは掴もうとして掴めるものではなく、意図せずに…

甦るパノラマ  二話

義正はこちらの意見を訊くまでもなくいきなり口を切り出す。 「金貸してくれないか?」 確かに少し無神経な奴ではあったが、会っていきなりの無心とはどういう了見なのだろう。英昭はムカつく気持ちを抑えつつ喋り出す。 「取り合えず俺の話を訊いてくれない…

論破とは?  ~真意を探ろうとしない現代日本社会

月替わり 未だ感じぬ 夏の色(笑) いやいや、梅雨やコロナの影響も然ることながら、なかなか心の夏は訪れないものです。無論それは自分次第という事なのでしょうけど。 とのかく7月、文月になった訳です。こうなったからには心身ともに綺麗さっぱりリフレッ…

甦るパノラマ  一話

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。 「じゃあまた明日~、さようなら~」 生徒達にとって終業のチャイムほど嬉しいものはなかった。部活動や習い事に勉強、交友やデート、アルバイトや娯楽等。気の赴くままに行動出来る放課後は正に自由…