人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

武神 <韓流時代劇>

 

  

 キム・ジュンは何故イム・ヨンなる者を己が跡継ぎに考えていたのでしょうか。確かに彼には比類なき才能があったかもしれませんが、あくまでも物語の後半から知り合ったばかりの彼にそこまで惹かれるものでもあったのでしょうか。

 結果二人は袂を分かつ事になりますが、キム・ジュンはこのイム・ヨンといい、チェ・ハンといい、自ら悩みの種を作ったように見えてしまいます。後に閤下(はっぱ)となるキム・ジュンにはそれほど先見の明が無かったのでしょうか。というのが自分の最大の疑問ではあります。

 一番好きだった韓流時代劇、武神のレビューです。

 

概要 

 このドラマは高麗王朝中期、武臣政権時代を舞台に奴婢(ぬひ)から武臣になり権力を掌握した金俊(キム・ジュン、ハングル版)を主人公にした作品。また仏教経典の総称、大蔵経製作から千年を記念して製作した作品でもある。2003年から2004年に放送された「武人時代」の続編とも言えるドラマで「武人時代」の第156話「僧侶の反乱」から描かれている。実在人物である金俊をキム・ジュヒョクが演じた。

 

キャスト  

キム・ジュンキム・ジュヒョク

チェ・ソンイ:キム・ギュリ

チェ・ウチョン・ボソク

チェ・ヤンベク:パク・サンミン

ウォラ/アンシム(二役):ホン・アルム

チェ・チュンホン:チュ・ヒョン

チェ・ヒャン:チョン・ソンモ

キム・ヤクソン:イ・ジュヒョン

萬全(マンジョン)、チェ・ハン:ペク・トビン

 

見どころ 

  何と言ってもまずは主人公であるキム・ジュンの華々しい出世街道でしょうね。彼は奴婢(ぬひ、奴隷)から最高権力者の閤下(はっぱ)にまで成りあがりますが、その道は決して順風満帆ではなく、余りにも険しく、凄絶で厳しい紆余曲折の茨の道でした。

 元々僧侶であったキム・ジュンは知性に優れた聡明な人物でした。そればかりか武にも精通する彼は正に文武両道、知勇兼備で人徳溢れる彼の人柄は多くの人々から愛され、確かに閤下の器であったかもしれません。

 ですがそれが災いし彼の事を妬む輩も出て来ます。その為に彼は要らぬ回り道をしたようにも見えますが、それこそがこの物語の醍醐味だったのかもしれませんね。

 

その一 最愛の恋人ウォラを喪った事


 キム・ジュンもウォラも僧侶の反乱で都房(とばん)親衛隊に捕らえられ奴婢として強制労働に従事していましたが、彼が撃毬(キョック)大会で優勝した戦利品としてウォラは自由の身になる事が出来ました。

 ですが兄弟のように同じ寺で育った二人の関係には何時しか愛情が芽生え、ウォラは寺には帰らず都房に残り、後にテ氏(チェ・ウの奥方)の取り計らいに依ってキム・ジュンと婚約する事になります。

 そこで二人の倖せを良く思わなかったソンイの侍女チュンシム達の陰謀に依りウォラは自害してしまいます。

 本当に憐れで気の毒な話です。ヒロインが物語序盤で死んでしまうとは何とも悲しい限りですね 😢 

 

その二 キム・ジュンとヤンベクの確執 


 都房ではキム・ジュンの一つ上の階級で先輩に当たるこのヤンベクは人気者でしたが如何せん武勇一辺倒な将で次々にキム・ジュンに追い抜かれて行きます。

 ヤンベク本人はそれを大して憎んではいなかったみたいですが側近の部下がキム・ジュンを逆恨みし、様々な姦計を弄して来ます。二人は良きライバルとして活躍しますが結局最期は.......。

 これもやり切れない話ですね。人間の本心とは分からないものです 😔

 

その三 チェハンの圧制


 これが一番酷かったですね。チェ・ウの妾の子チェ・ハンはその素行の悪さを咎められ地方に左遷されていましたが、チェ・ウが自分の跡継ぎ探すべくキム・ジュンに二人の義理の息子に会いに行くよう密命を与えます。

 そこでキム・ジュンはこの弟であるチェ・ハンを連れ帰りチェ・ウの後継者に推して次代の閤下に据えましたが、このチェ・ハンはママハハから有力武将まで自分の意にそぐわない者を悉く抹殺してしまいます。正に殺人鬼ですね。

 これは中世の独裁政権、今の北朝鮮のような政権であるとも思います。この二人のならず者の兄弟は物語の序盤から常にみんなの足を引っ張っていますから、もっと早くに処分するべきだったと思いますね。正に悪の元凶です、邪魔で仕方なかったですね。

 

その四 キム・ジュンとイム・ヨンの確執


 そして最期に閤下にまで成りあがったキム・ジュンですが、ここでまたまた厄介な男を配下に加えるような、自ら災いを呼び込むような真似をします。

 キム・ジュンの半蒙古派に対し、イム・ヨンの親蒙古派。史実では逆だったようですが、だいたいは武官が半蒙古派で文官が親蒙古派だったと言われていますね。何れにしてもキム・ジュンは何故災いの種ばかり作ってしまうのでしょうか、いくら本意では無かったとしても彼の下手打ちの数は多過ぎます。ただ不器用なだけなのでしょうか。

 話は逸れますがキン肉マンのキン肉アタルが提唱していた真・友情パワーとキン肉王家の心構えで「敢えて茨の道を歩め」などと言っていましたが、確かにそれも良いとは思うのですが、キム・ジュンに限っては余りにも無駄な寄り道をしているようにしか見えませんね。強大な蒙古を相手に内輪もめなどしている場合かと思う所です。

 ですが人間とは得てしてそういう生き物でそういう性なのかもしれないとも思います。それは自分の人生でも経験しましたし、今のヤクザ事情を見ても分かるように内部抗争というものは何時の時代でもあるんですよね。

 太平洋戦争でもそうです。強大な外敵よりも寧ろ日本国内での統制が取れずに真珠湾攻撃などをしてしまったが為に日本は悲惨な末路を歩む事になったと思います。余り調子に乗らずそこそこで止めておけば原爆を投下される事も無かったでしょうし、惨敗を喫する事もなくアメリカと対等に渡り合えたとも思います。

 ま~全ては後の祭りで全て後付けになってしまうのですが、この内輪もめこそが最大の争いのような気もしますね。こんな醜い争いは無いと思います。身内が纏まらずして外敵に勝てる訳がないんですよね。

 この事は日常生活に於いても重要な事だと思います。

 

その五 テーマ曲  

 この武神のエンディングテーマ曲の『刀雨(イヌ)』これがまたいいんですよね。冒頭の切ないメロディーから始まって、燃えるような烈しい漂いがあるサビ。この曲は何度も聴いていました。 

 

 

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最後に

 はっきり言ってバッドエンドで 悲しい物語だとは思いますが、それでも面白いですね。時代は繰り返されるとするならば昔の日本にもこんな硬派なドラマや映画が多かったと思いますが、それを現在進行形で作っている韓流時代劇は本当に面白いです。

 だから自分は韓流ドラマでも現代劇は全く見ませんが、時代劇が全く無くなってしまった今の日本、そして大河ドラマも今では時代劇という感じすらしません。せめて大河ぐらいは硬派路線を貫いても良いような気がします。

 また硬い話になってしまいましたが、武神、韓流時代劇の最高傑作だと思います 😉