人生は花鳥風月

森羅万象様々なジャンルを名もなき男が日々の心の軌跡として綴る

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

まほろばの月  二十三章

竜太は一晩留置所に泊まる事になりその後も執拗な尋問を受けていた。だが口の堅い一家のメンバーは堕とす事は至難の業で、警察の取り調べも苦戦を強いられていた。 そんな竜太に刑事は言う。 「流石と言いたい所だが、いい加減吐いてしまえよ、被害届も出て…

まほろばの月  二十二章

腐っても極道の端くれであった椎名はエンコを飛ばしたぐらいでは全く狼狽えなかった。阿弥が命じて用意させた氷にも手を浸そうとはしない。それどころか未だ不敵な笑みを浮かべながら阿弥に言うのだった。 「この勝負貰ったな、俺達の勝ちだぜ」 椎名のこの…

大阪弁と神戸弁(播州弁)の違い

梅雨空の 僅かな晴れ間 有難き(笑) 昨今は若者の、いや現代人の方言離れなども囁かれていますが自分としては嘆かわしい限りですね。方言こそ素晴らしい文化、歴史の象徴で、そこから多種多様の個性や面白さが生まれて来るとも思えるのですが、そういうもの…

まほろばの月  二十一章

隠れ家に帰った阿弥は本格的な作戦会議を開いたのだが、そこでは思わぬ凶報が齎された。警察が本気で動き出したのだというのだ。確かに想定内ではあった。いくら一家が義の為にして来た事とはいえ、その行為はあくまでも犯罪である。今まで誰一人としてお縄…

まほろばの月  二十章

波子に内々に調べさせていた目黒と山友会との間柄は実に醜く腐れ切ったものだった。山友会は目黒に対し多額の賄賂を贈っていた。それは当然目黒の選挙資金にもなるし、小遣いにもなる。その上、右翼団体などを使い敵対する候補者の選挙妨害や、己が身辺警護…

まほろばの月  十九章

無事仕事を終えた阿弥だったがその顔に笑みは無かった。椎名が最後に吐いた捨て台詞が気に掛かって仕方ない。彼はこう言っていた。 「今回は流石に完敗だな、しかしお前らも長くは持たねーぞ、うちの親分は黙ってねーだろうな、それにあの御方も付いてる事だ…

横浜港、長崎港開港記念日 ~オムレツの日

春情に 別れを告げる 水無月よ(笑) いよいよ六月になってしまいましたかぁ~。いやはや本当に早いですね。この前正月になったばかり、この前節分、雛祭り、桜の開花、端午の節句、GWと思っていましたが。それがもはや6月、早くも夏を思わせる気候ですけど…

まほろばの月  十八章

波子から合図を受けた五人の女達はいよいよ動き出す。時は午後10時半、金色に輝く満月の月灯りは優しく柔らかく、そしてあくまでも堂々と地上にあるもの全てを真正面から見据えているようだ。街はずれこの辺りは既に閑散としなくていて人影は全く無く、椎名…